英語の曜日の由来とは?神話の神々と天体が織りなす語源を解説

英語の曜日の由来は、太陽と月、そして「ゲルマン神話(北欧神話)」と「ローマ神話」に登場する神々の名前にあります。

私たちが普段何気なく使っている「Sunday」から「Saturday」までの曜日の名前は、古代ローマ帝国で使われていた天体(太陽系の星々)と神々を結びつけた暦がベースとなっています。

それが古代ゲルマン人(現在のイギリス人やドイツ人などの祖先)に伝わった際、彼らが信仰していた独自の神々の名前に置き換えられたことで、現在の英語の曜日の名前が誕生しました。

この記事では、英語の曜日ごとの詳しい語源や神話のエピソードから、水曜日のスペル(Wednesday)が難しい理由、さらには日本の曜日との意外な関係までを分かりやすく解説します。

英語の曜日の由来を先に結論から解説

英語の曜日の名前は、単なる記号や数字の羅列ではありません。

それぞれの曜日には、古代の人々が信仰した神々の力強い名前が刻まれています。

天体と「ゲルマン神話・ローマ神話の神々」が語源

英語の曜日の語源は、大きく分けて以下の三つの要素から構成されています。

  1. 太陽と月(Sun, Moon)
  2. 古代ゲルマン人が信仰していたゲルマン神話(北欧神話)の神々
  3. 古代ローマ人が信仰していたローマ神話の神

もともと古代のヨーロッパでは、ラテン語で「太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星」という七つの天体に、ローマ神話の神々の名前を当てはめて曜日を呼んでいました。

その後、ゲルマン人がこの暦の仕組みを取り入れた際、ローマの神々を自分たちの神話(ゲルマン神話・北欧神話)の神々に翻訳して置き換えたのです。

そのため、英語の曜日は「天体」と「神々の名前」が見事にリンクした名称となっています。

英語の曜日の由来・早見表

各曜日がどの天体と神様に由来しているのかを、ひと目で分かるように早見表として整理しました。

英語の曜日 対応する天体 由来となった神(語源)
Sunday(日) 太陽 太陽(Sun)
Monday(月) 月(Moon)
Tuesday(火) 火星 ゲルマン神話の天空・軍神ティュール(Tiw)
Wednesday(水) 水星 ゲルマン神話の主神オーディン/ウォードン(Woden)
Thursday(木) 木星 ゲルマン神話の雷神トール(Thor)
Friday(金) 金星 ゲルマン神話の愛と美の女神フリッグ(Frigg)
Saturday(土) 土星 ローマ神話の農耕神サトゥルヌス(Saturn)

英語の曜日ごとの詳しい語源と神話のエピソード

ここからは、それぞれの曜日がどのように名付けられたのか、神話の壮大なエピソードを交えながら詳しく解説します。

スペルと語源を結びつけることで、単語の暗記にも役立ちます。

Sunday(日曜日)とMonday(月曜日)は太陽と月

日曜日と月曜日は、神様の名前ではなく、天体そのものの名前が直接の語源となっています。

Sunday(日曜日)は、古英語の「Sunnandæg(太陽の日)」に由来します。

古代の人々にとって、光と熱をもたらす太陽は最も重要で神聖な存在であり、一週間の始まりの日にふさわしいとされました。

Monday(月曜日)は、古英語の「Monandæg(月の日)」が語源です。

太陽に次いで夜空を明るく照らす月が、2番目の曜日として配置されました。「Moon’s day」が変化してMondayになったと考えると分かりやすいでしょう。

Tuesday(火曜日)は軍神ティュールの火星

Tuesday(火曜日)の語源は、ゲルマン神話に登場する天空神であり軍神でもある「ティュール(Tiw / Tyr)」です。

ローマ暦では、火曜日は戦いの神「マルス(火星)」の日とされていました。

ゲルマン人たちは、自分たちの神話の中でマルスに相当する戦いの神を探し、勇猛果敢なティュールの名前を当てはめました。

「Tiw’s day(ティュールの日)」が変化して、Tuesdayというスペルになったのです。

Wednesday(水曜日)は主神オーディンの水星

英語の曜日の中で最もスペルが難しく、「なぜdが入るのか?」と疑問に思いやすいのがWednesday(水曜日)です。

この語源は、ゲルマン神話(北欧神話)の最高神である「オーディン(ウォードン:Woden)」にあります。

ローマ暦における水曜日は、商人や旅人の守護神であり、知恵の神でもある「メルクリウス(水星)」の日でした。

ゲルマン人たちは、この知恵の神に相当する存在として、知識を得るために自らの片目をも差し出したという主神オーディン(ウォードン)を選びました。

つまり、Wednesdayは「Woden’s day(ウォードンの日)」が語源であり、この「Woden」の「d」が現在もスペルの中に残っているのです。

Thursday(木曜日)は雷神トールの木星

Thursday(木曜日)の語源は、アベンジャーズなどの映画でもおなじみの雷神「トール(Thor)」です。

ローマ暦の木曜日は、雷を操る天空の主神「ユピテル(ジュピター:木星)」の日でした。

雷の神と言えば、ゲルマン神話ではミョルニルという巨大なハンマーを振るう最強の戦士トールです。

「Thor’s day(トールの日)」が訛って、Thursdayという呼び方になりました。

Friday(金曜日)は愛と美の女神フリッグの金星

Friday(金曜日)の語源は、ゲルマン神話における愛と美、そして結婚の女神「フリッグ(Frigg)」(あるいは豊穣の女神フレイヤ)です。

ローマ暦の金曜日は、愛と美の女神「ウェヌス(ヴィーナス:金星)」の日とされていました。

ゲルマン人たちは、自分たちの神話の中で愛や結婚を司る女神フリッグをこれに対応させました。

「Frigg’s day(フリッグの日)」からFridayという美しい名前が生まれました。

Saturday(土曜日)は農耕神サトゥルヌスの土星

Saturday(土曜日)は、英語の曜日の中で唯一、ゲルマン神話の神ではなくローマ神話の神「サトゥルヌス(Saturn)」の名前がそのまま残っています。

ローマ暦の土曜日は、農耕の神であるサトゥルヌス(土星)の日でした。

「Saturn’s day(サトゥルヌスの日)」がSaturdayの語源です。

なぜ土曜日だけがゲルマン神話の神に置き換えられなかったのかについては、次の章で詳しく解説します。

なぜローマ神話とゲルマン神話が混ざっているのか

火曜日から金曜日まではゲルマン神話の神々が名前の由来になっているのに、なぜ土曜日だけがローマ神話のままなのでしょうか。

そこには、古代ヨーロッパにおける文化の交壊と翻訳の歴史が隠されています。

ローマ帝国の暦をゲルマン人が取り入れた歴史的背景

紀元前の古代ヨーロッパにおいて、強大な勢力を誇っていたローマ帝国は、エジプトやバビロニアから伝わった占星術をベースに「七曜(7つの天体に神々を割り当てた1週間の暦)」を使用していました。

ローマ帝国の領土が拡大し、北方に住むゲルマン人(英語のルーツとなる言語を話す人々)と接触するようになると、ゲルマン人たちもこの便利な「7日間の暦」のシステムを取り入れました。

しかし、ゲルマン人たちはローマの神々をそのまま拝むのではなく、「ローマの神様は、俺たちの神話でいうとあの神様だな」と、自分たちの文化に翻訳して置き換えたのです。

このような異なる神話体系の神々を同一視する現象を、歴史学や宗教学では「Interpretatio germanica(ゲルマン的解釈)」と呼びます。

サタデーだけローマ神話の神が残った理由

ゲルマン人は、火星(戦い)にはティュールを、木星(雷)にはトールをと、見事に神々を置き換えていきました。

しかし、土曜日の担当であるローマの農耕神「サトゥルヌス」にぴったりと当てはまる神様が、ゲルマン神話の中には見つからなかったとされています。

当時のゲルマン人は狩猟や戦いを重んじる文化であり、ローマのサトゥルヌスのような「時間を司り、農業を教える老成した神」という概念に完全に一致する主要な神がいなかったのです。

そのため、「ここは適当な神がいないから、ローマの神様の名前(Saturn)をそのまま使っておこう」となり、Saturdayだけがローマ神話由来のまま英語に定着したと言われています。

英語の曜日と日本の曜日の意外な関係(関連雑学)

英語の曜日は「Sun, Moon, Tiw, Woden…」と神々の名前が並びますが、日本の曜日は「日、月、火、水、木、金、土」と自然のエレメントが並びます。

一見すると全く違う由来のように見えますが、実はこれらは同じルーツから派生した兄弟のような関係にあります。

ルーツは同じ古代バビロニアの占星術

一週間を7日とし、それぞれに星の名前を割り当てるというシステム(七曜)の起源は、古代メソポタミア(現在のイラク周辺)のバビロニア王国にあるとされています。

古代の天文学者たちは、夜空の星々の中で、太陽と月、そして肉眼で動きが確認できる5つの惑星(火星、水星、木星、金星、土星)を特別な天体として神聖視しました。

この「7つの天体=神々の星」という概念が世界中へ広がっていったのです。

シルクロードを経て日本へ伝わった七曜星

古代バビロニアから西へ向かった暦は、ギリシャやローマ帝国を経てヨーロッパに伝わり、神々の名前(Tuesdayなど)として英語の曜日の語源となりました。

一方、東へ向かった暦はインドや中国へと伝わりました。

中国では、万物を構成する5つの要素「火・水・木・金・土(五行説)」と天体が結び付けられ、これに太陽(日)と月を加えた「七曜(しちよう)」として体系化されました。

これが平安時代に弘法大師・空海らによって仏教の経典とともに日本へもたらされ、明治時代になって正式に「日曜日、月曜日…」という曜日制度として採用されたのです。

つまり、水曜日のWednesday(水星の神オーディン)と、日本の「水曜日」は、表現こそ違えど、どちらも古代バビロニアの「水星」をルーツとする全く同じ概念なのです。

英語の曜日の由来でよくある誤解

英語の曜日の由来について、よくある誤解の一つが「すべてローマ神話の神々が語源である」という思い込みです。

確かにフランス語やスペイン語などのラテン語系の言語では、曜日名にローマ神話の神々の名前がそのまま残っています(例:フランス語の水曜日はメルクリウスに由来するmercredi)。

しかし、英語はゲルマン語派に属する言語であるため、先述の通りローマの神々を独自のゲルマン神話(北欧神話)の神々に翻訳して名付けました。

「Saturday以外はゲルマン神話(北欧神話)の神様が語源」というのが正確な知識です。

英語の曜日の由来に関するよくある質問

英語の曜日の由来は何ですか?

太陽と月、そして古代ゲルマン人が信仰していたゲルマン神話(北欧神話)の神々、およびローマ神話の神の名前が語源です。古代ローマの天体に基づく暦を、ゲルマン人が自分たちの神の名前に置き換えて名付けました。

なぜWednesdayには「d」が入っているのですか?

水曜日の語源が、ゲルマン神話の最高神である「Woden(ウォードン/オーディン)」に由来するからです。「Woden’s day(ウォードンの日)」が変化してWednesdayとなったため、現在でも発音しない「d」の文字がスペルの中に残っています。

英語の曜日と日本の曜日は関係がありますか?

はい、大元のルーツは同じです。古代バビロニアで生まれた「7つの天体(太陽、月、火、水、木、金、土)」に基づく占星術の暦が、西のヨーロッパへ伝わって英語の曜日となり、東の中国・日本へ伝わって現在の日本の曜日名となりました。

なぜSaturdayだけローマ神話の神が由来なのですか?

ゲルマン人がローマの暦を取り入れた際、他の曜日は自分たちの神話の神にうまく置き換えられましたが、土曜日の担当であるローマの農耕神「サトゥルヌス(Saturn)」に相当する神がゲルマン神話にいなかったため、そのままローマの神の名前が残ったとされています。

英語の曜日のルーツはどこの国ですか?

英語という言語の枠組みで名付けたのは古代のイギリスやドイツ周辺に住んでいたゲルマン人ですが、「一週間を7日として星や神を割り当てる」というシステムのルーツを辿ると、古代メソポタミア(現在のイラク周辺)のバビロニア王国に行き着きます。

英語の曜日の由来まとめ

英語の曜日の由来は、古代バビロニアからローマ帝国に伝わった天体の暦を、古代ゲルマン人が自分たちの信仰する「ゲルマン神話(北欧神話)」の神々の名前に置き換えたものでした。

水曜日のスペルが「Wednesday」と複雑なのも、木曜日の「Thursday」に雷神トールの名前が隠れているのも、すべてはこの壮大な神話の歴史が理由です。

そして、遠く離れた日本で使われている「月火水木金土日」という曜日も、シルクロードを経て伝わった全く同じ星々をルーツとしているという事実は、人間の文化の繋がりを感じさせます。

次にカレンダーを見るときや、英語でスケジュールを書くときは、その単語の背後にある古代の神々の姿や、夜空の星々を思い浮かべてみてください。

ただのアルファベットの並びが、少しだけドラマチックで面白いものに見えてくるはずです。