英語で10月を意味するオクトーバー(October)の由来は、ラテン語で「8」を意味する「octo(オクト)」です。
10月なのに「8」が語源になっている理由は、古代ローマ時代のカレンダーの仕組みにあります。
当時は3月が1年の始まりだったため、そこから数えて8番目の月がOctoberと呼ばれていました。
この記事では、オクトーバーの語源や、なぜ現在のように2ヶ月のズレが生じたのかという歴史的背景、そして同じ語源を持つ関連雑学まで詳しく解説します。
| オクトーバーの由来に関する要点 | 内容 |
|---|---|
| 最も有力な語源 | ラテン語の「octo(8)」 |
| 10月なのに「8」の理由 | 古代ローマ暦では3月が1年の始まり(1ヶ月目)だったため |
| ズレが生じた原因 | 後の時代に1月と2月が先頭に追加されたが、名称はそのまま残ったため |
| 同じ語源を持つ言葉 | オクトパス(8本足)、オクタゴン(八角形)、オクターブ(8音度)など |
オクトーバー(October)の由来を先に結論から解説
オクトーバーの由来について、国語辞典や語源辞典で確認できる事実は非常にシンプルです。
複雑な諸説が入り乱れているわけではなく、歴史的なカレンダーの変更という明確な理由が存在します。
最も有力とされる説は「8番目の月」
オクトーバーの語源は、ラテン語で数字の「8」を意味する「octo(オクト)」です。
英語を学ぶ際、タコを意味するオクトパス(octopus)が8本足であることから、「octo=8」という知識を持つ人は少なくありません。
それなのにOctoberが10月を指すことに対して、矛盾や違和感を覚えるのは当然の反応です。
この矛盾は、古代ローマ人が使っていた古い暦(カレンダー)の構造に起因しています。
由来と暦のズレ早見表
古代ローマの暦と現在の暦を比較すると、なぜ名前と数字がずれてしまったのかが一目で分かります。
当時の1ヶ月目(現在の3月)から順番に数えていくと、見事にOctoberが「8番目」に収まります。
| 順番 | 古代ローマ暦(当時の月名) | 現在の暦(現在の月) |
|---|---|---|
| 1番目の月 | Martius(マルティウス) | 3月(March) |
| 2番目の月 | Aprilis(アプリリス) | 4月(April) |
| 3番目の月 | Maius(マイウス) | 5月(May) |
| 4番目の月 | Iunius(ユニウス) | 6月(June) |
| 5番目の月 | Quintilis(クィンティリス) | 7月(July) |
| 6番目の月 | Sextilis(セクスティリス) | 8月(August) |
| 7番目の月 | September(セプテンバー) | 9月(September) |
| 8番目の月 | October(オクトーバー) | 10月(October) |
オクトーバーはなぜ「2ヶ月」ずれたのか
名前は「8」のままで、カレンダー上の位置だけが「10番目」へと移動したのには、人間の営みと政治的な都合が深く関わっています。
古代ローマにおいて暦がどのように変化していったのか、その変遷を時系列で追っていきます。
1年が3月から始まっていたロムルス暦
古代ローマの最初の暦とされる「ロムルス暦」は、紀元前8世紀頃に制定されました。
当時のローマ人は農業を中心とした生活を送っており、農作業が始まる春(現在の3月)を1年のスタートと定めていました。
このロムルス暦は1年が10ヶ月しかなく、農作業を行わない冬の期間(現在の1月と2月にあたる約60日間)は、カレンダー上に月名すら存在しない「空白の期間」として扱われていました。
この時代、Octoberは正真正銘、1年の始まりから数えて「8番目の月」だったのです。
1月と2月が追加されたヌマ暦
やがて、冬の期間にも名前がないと不便だということになり、紀元前700年頃に「ヌマ暦」へと改暦されました。
このとき、1年の終わりに「Ianuarius(現在の1月)」と「Februarius(現在の2月)」という2つの月が新たに追加され、1年は12ヶ月になりました。
追加された直後は、あくまで1年の終わり(11番目と12番目)に配置されていたため、Octoberはまだ「8番目の月」のままでした。
しかしその後、政治的な理由や執政官の任期などの都合により、新しく追加されたIanuarius(1月)を1年の始まり(先頭)に変更する決定が下されます。
ここで、カレンダーの先頭に2ヶ月分が割り込んだことで、後ろの月がすべて2ヶ月ずつ後ろへ押し出される事態が発生しました。
Octoberは「8番目の月」という名前を持ったまま、カレンダー上では「10番目の月」へと移動してしまったのです。
ズレが確定したユリウス暦への移行
紀元前45年、共和政ローマの英雄ユリウス・カエサルによって「ユリウス暦」が導入されました。
この改暦により、1年の日数が365日となり、4年に1度の閏年(うるうどし)が設けられるなど、現在の太陽暦に極めて近いカレンダーが完成します。
カエサルは暦を整備する際、ズレてしまった月名を修正することはしませんでした。
すでに民衆の間に定着していた名称を変えることの混乱を避けたためだとされています。
こうして、オクトーバーは「8を意味する10月」として、現代に至るまでその名前を残すことになりました。
「octo(8)」を語源に持つ関連ワード
オクトーバーの語源であるラテン語の「octo」は、英語のさまざまな単語の接頭辞として生きづいています。
これらを知っておくと、英単語の意味を推測しやすくなり、ちょっとした雑学としても役立ちます。
オクトパス(タコ)やオクタゴン(八角形)
日常的に見聞きする言葉の中にも、「octo」に由来するものが多数存在します。
- オクトパス(octopus):8本の足を持つタコ。
- オクタゴン(octagon):8つの角を持つ八角形。格闘技の金網リングの名称としても有名。
- オクターブ(octave):音楽において、ある音から数えて8番目の音程(ドから上のドまで)。
- オクトパスカード(Octopus card):香港で普及している交通系ICカード。タコの足のように様々な用途へ広がる(カバーする)という意味から命名された。
- オクタコア(octa-core):スマートフォンやパソコンのCPUで、中心となる処理回路(コア)を8つ搭載しているもの。
このように、「octo」が付く単語はすべて数字の「8」に関連しています。
オクトーバーだけが「10」を指している状態が、いかに例外的な状況であるかが分かります。
9月〜12月も由来は数字!英語の月の語源まとめ
古代ローマのカレンダー改訂の影響を受けたのは、オクトーバーだけではありません。
9月から12月までの4ヶ月間は、すべてラテン語の数字がそのまま月名になっており、等しく「2ヶ月のズレ」を抱えています。
9月(September)は「7」
9月を表すセプテンバー(September)は、ラテン語で「7」を意味する「septem(セプテム)」が語源です。
これも元々は7番目の月でしたが、2ヶ月押し出されて9月になりました。
音楽用語のセプテット(七重奏)なども同じ語源を持っています。
11月(November)は「9」
11月を表すノーベンバー(November)は、ラテン語で「9」を意味する「novem(ノウェム)」が語源です。
9番目の月が、11月へと移動しました。
12月(December)は「10」
12月を表すディセンバー(December)は、ラテン語で「10」を意味する「decem(デケム)」が語源です。
10番目の月が、1年の最後の月である12月になりました。
10年を意味するdecade(ディケイド)や、10分の1を意味するデシリットル(deciliter)なども同じ語源から派生しています。
9月(7)、10月(8)、11月(9)、12月(10)と、年末の4ヶ月はすべて数字がそのまま名前になっているという法則を知っておくと、英語の月名を覚えるのが少し楽しくなります。
日本の10月「神無月」の由来との違い
英語圏のカレンダーの歴史を見てきましたが、翻って日本の10月はどうでしょうか。
日本では古くから10月を「神無月(かんなづき)」と呼んできました。
西洋が単なる数字で月を呼んでいたのに対し、日本の異名には深い自然観や信仰が反映されています。
「神様がいない」は俗説?本来の意味
神無月の由来として最も広く知られているのは、「全国の神様が出雲大社(島根県)に集まって会議をするため、各地から神様がいなくなる月」という説です。
出雲地方では逆に「神在月(かみありづき)」と呼ぶことからも、このエピソードは有名です。
しかし、語源辞典や歴史的な見地からすると、この説は中世以降に広まった「俗説(後付けの民間語源)」であるとされています。
本来の有力な由来は以下の通りです。
- 「無(な)」は、「水無月(みなづき=水の月)」と同じく、連体助詞の「の」を意味する。
- つまり「神無月」は「神の月」という意味である。
- 秋の収穫を終え、新しい穀物を神様に捧げて感謝する神祭りの月であったことに由来する。
西洋のオクトーバーが暦の改編によって「8」から「10」へずれた機械的な歴史を持つのに対し、日本の神無月は農業と神事という生活の実感から名付けられています。
同じ10月でも、その背景にある文化の違いは明確です。
オクトーバーの由来でよくある誤解
オクトーバーの由来に関連して、世間によく広まっている誤解が一つあります。
それは「わがままなローマ皇帝たちが、自分の名前をカレンダーに入れたせいで月がずれた」という逸話です。
7月(July)はユリウス・カエサル(Julius)、8月(August)は初代皇帝アウグストゥス(Augustus)の名前から取られています。
ここから、「カエサルとアウグストゥスが自分の誕生月をカレンダーに無理やりねじ込んだため、それ以降の月(9月〜12月)が2ヶ月ずつ後ろに押し出された」と語られることがあります。
しかし、これは完全に誤りです。
前述の通り、カレンダーが2ヶ月ずれたのは、ヌマ暦の時代に「1月と2月が先頭に追加されたため」です。
カエサルとアウグストゥスが行ったのは、元々あった7番目の月(Quintilis)と8番目の月(Sextilis)の名称を、自らの名前に「変更」しただけです。
新しく月を追加して全体を押し出したわけではないため、この逸話を事実として話すと恥をかくことになります。
オクトーバーの由来に関するよくある質問
オクトーバーの語源は何ですか?
オクトーバー(October)の語源は、ラテン語で数字の「8」を意味する「octo」です。
なぜ10月なのに「8」という意味なのですか?
古代ローマ人が使っていた初期の暦(ロムルス暦)では、現在の3月が1年の始まり(1ヶ月目)でした。そこから数えて8番目の月だったため、Octoberと名付けられました。
なぜ2ヶ月ずれてしまったのですか?
後の時代に、カレンダーの先頭に現在の1月と2月にあたる月が追加されたためです。これにより、Octoberを含む元の月はすべて2ヶ月ずつ後ろへ押し出され、10番目の月になりました。
オクトパス(タコ)とオクトーバーは同じ語源ですか?
はい、同じ語源です。タコが8本足であることから「octo(8)」+「pus(足)」でオクトパスと呼ばれています。
ドイツの「オクトーバーフェスト」とは何ですか?
ドイツのミュンヘンで毎年秋に開催される世界最大規模のビール祭りです。オクトーバーと名が付いていますが、実際には9月中旬から10月の第1日曜日まで開催されるのが通例です。
オクトーバーの由来まとめ
オクトーバー(October)の由来は、単なる数字の「8」です。
10月というカレンダー上の位置と名前が一致していないのは、古代ローマ人が暦を改修していく過程で生じた、歴史の痕跡だと言えます。
- オクトーバーの語源はラテン語の「octo(8)」。
- 古代ローマ暦では3月がスタートだったため、正しく8番目の月だった。
- 1月と2月が先頭に追加されたことで、名前はそのままに「10番目」へずれた。
- 9月〜12月はすべて数字(7〜10)がそのまま月名になっている。
- タコ(オクトパス)や八角形(オクタゴン)も同じ語源を持つ仲間。
普段何気なく使っている「オクトーバー」という言葉の裏には、2000年以上前の人々の生活と暦のルールが隠されています。
英語を学ぶ際や、秋の訪れを感じる時期のちょっとした雑学として、オクトパスとの関係性も含めてぜひ誰かに話してみてください。