英語の月の名前の由来を知る!カエサルやアウグストゥスとカレンダーの謎

英語の月の名前(JanuaryからDecember)の由来は、古代ローマ時代に信仰されていた「ローマ神話の神々」の名前や、当時の「ラテン語の数字」にあります。

古代ローマ帝国で使われていた暦(カレンダー)がヨーロッパ中に広まり、英語という言語の中でもそのまま月の名前として定着しました。

しかし、英語の月の語源を辿ると、「タコ(Octopus=8本足)」と同じ語源を持つOctoberが「10月」であったり、「10年(Decade)」と同じ語源を持つDecemberが「12月」であったりと、数字の意味と実際の月が「2ヶ月ズレている」という不思議な現象に気づきます。

この記事では、英語の月ごとの詳しい語源やローマ神話のエピソードから、なぜ意味が2ヶ月ズレてしまったのかというカレンダーの歴史、そして英雄カエサルが名前に割り込んだ背景までを分かりやすく解説します。

英語の月の名前の由来を先に結論から解説

私たちが当たり前のように使っている英語の月の名前には、古代の人々の信仰や、権力者たちの思惑が色濃く反映されています。

まずは、それぞれの月がどのようなルーツを持っているのか、全体像を整理して解説します。

主な語源は「ローマ神話の神々」と「ラテン語の数字」

英語の月の名前は、大きく分けて以下の三つの要素から成り立っています。

  1. ローマ神話の神々や祭り(1月〜6月)
  2. 実在したローマの英雄や皇帝の名前(7月、8月)
  3. ラテン語の数字(9月〜12月)

このように、1月から順に見ていくと、神様の名前から始まり、途中で人間の権力者の名前が挟まり、最後は単純な数字の羅列で終わるという、非常に不規則な構成になっているのが大きな特徴です。

これには、ローマ帝国の暦が時代とともに改編を繰り返してきた複雑な歴史が関係しています。

「英語の月」の由来早見表

各月が何に由来しているのか、そして語源となった言葉の意味をひと目で分かるように早見表としてまとめました。

英語の月 由来・語源となったもの 備考
January(1月) 門と出入り口の神「ヤヌス(Janus)」 物事の始まりを象徴
February(2月) 清めの祭り「フェブルア(Februa)」 古い暦では一年の最後の月
March(3月) 農耕と戦いの神「マルス(Mars)」 古い暦では一年の最初の月
April(4月) ラテン語の「開く(aperire)」など諸説あり 春の芽吹きを象徴
May(5月) 豊穣の女神「マイア(Maia)」 春の成長を象徴
June(6月) 結婚の女神「ユノ(Juno)」 ジューンブライドの語源
July(7月) 英雄「ユリウス・カエサル(Julius Caesar)」 カエサルの誕生月にちなむ
August(8月) 初代皇帝「アウグストゥス(Augustus)」 戦勝を記念して改称
September(9月) ラテン語の数字の「7(septem)」 古い暦での7番目の月
October(10月) ラテン語の数字の「8(octo)」 古い暦での8番目の月
November(11月) ラテン語の数字の「9(novem)」 古い暦での9番目の月
December(12月) ラテン語の数字の「10(decem)」 古い暦での10番目の月

最大の謎:なぜ「数字の語源」と「実際の月」が2ヶ月ズレているのか?

早見表を見ると、9月(September)から12月(December)までの語源が、「7」から「10」という数字の順番になっていることに気づきます。

英語を学ぶ多くの人が疑問に思う、この「2ヶ月のズレ」の理由を解説します。

古代ローマの暦は「3月」が一年の始まりだった

現在のカレンダーは1月がスタートですが、紀元前8世紀頃の古代ローマで使われていた最初の暦(ロムルス暦)では、現在の3月にあたる月が一年の始まり(1番目の月)でした。

冬の厳しい寒さが和らぎ、農耕や軍事行動が再開できる春こそが、古代の人々にとって新しい一年のスタートにふさわしかったのです。

そして当時の暦は、なんと1年が10ヶ月(304日)しかありませんでした。

農作業が行われない真冬の約60日間は、カレンダー上には存在しない「名もない空白の期間」として扱われていたのです。

後から「1月」と「2月」がカレンダーに追加された

しかし、カレンダーに空白の期間があるのは不便であるため、紀元前713年頃に「ヌマ暦」という新しい暦が導入されます。

この時、それまでの10ヶ月の後に、新たに「11番目の月(現在のJanuary)」と「12番目の月(現在のFebruary)」が追加されました。

その後、紀元前153年頃になって、一年の始まりが「3月」から「追加された11番目の月(January)」へと変更されました。

つまり、それまで11番目と12番目だった月が、そのまま「1番目(1月)」と「2番目(2月)」へと移動してきたのです。

月の順番 古いローマ暦(ロムルス暦) 現在のカレンダー
1番目 March(農耕の始まり) January(元は11番目)
2番目 April February(元は12番目)
7番目 September(7を意味する) July(2ヶ月ズレる)
8番目 October(8を意味する) August
9番目 November(9を意味する) September(元の7番目)
10番目 December(10を意味する) October(元の8番目)

このように、先頭に2ヶ月分が割り込んできたため、それ以降の月の名前と実際の月数が「2ヶ月分ズレてしまった」というのが、最大の謎の真相です。

当時の人々は名前を変えずにそのまま使い続けたため、数字の意味と月数が合わないまま現代に至っています。

英語の月の詳しい語源とエピソード(1月〜6月)

カレンダーのズレの理由が分かったところで、ここからは各月ごとの詳しい語源と、そこに秘められた神話のエピソードを見ていきましょう。

January(1月)は始まりと終わりの神「ヤヌス」

Januaryの語源は、ローマ神話に登場する出入り口と扉の神「ヤヌス(Janus)」です。

ヤヌスは頭の前と後ろに反対向きの二つの顔を持つ神様で、一方は過去(終わり)を、もう一方は未来(始まり)を見ているとされていました。

古い年が終わり、新しい年が始まる「入り口」の月にふさわしい神様として、後に追加されたこの月に「ヤヌスの月(Januarius)」という名前が与えられました。

February(2月)は慰霊と清めの祭り「フェブルア」

Februaryの語源は、古代ローマで毎年2月15日に行われていた慰霊と清めの祭り「フェブルア(Februa)」に由来します。

当時のカレンダー(ヌマ暦)では、2月が一年の最後の月でした。

そのため、一年間に溜まった穢れ(けがれ)を払い、死者の魂を慰めるための盛大な宗教行事が行われていたのです。

「清めの月(Februarius)」という意味が込められた、少し厳粛な響きを持つ名前です。

March(3月)は農耕と戦いの神「マルス」

Marchの語源は、ローマ神話の農耕と軍事の神「マルス(Mars)」です。

先述の通り、古代ローマでは3月が一年の始まりでした。

厳しい冬が終わって雪が解け、農作物の種まきが始まると同時に、休戦していた軍隊が再び遠征に出発する季節でもあります。

農耕の守護神であり、勇猛な軍神でもあるマルスの名前を冠した「マルスの月(Martius)」は、生命力と力強さに溢れた新しい一年のスタートを象徴していました。

April(4月)の語源には二つの有力な説がある

Aprilの語源については、現在も言語学者や歴史学者の間で意見が分かれており、主に二つの有力な説が存在します。

  1. ラテン語の「開く(aperire)」説:春になって草木が芽吹き、花が開く季節であることから、ラテン語の動詞「aperire(開く)」が語源となったという説。
  2. 愛と美の女神「アプロディーテー(Aphrodite)」説:ギリシャ神話の愛と美の女神アプロディーテーに由来するという説。エトルリア語の「アプル(Apru)」を経由して名付けられたとも言われています。

いずれにしても、花々が咲き乱れ、生命が躍動する美しい春の季節を表現した名前であることに変わりはありません。

May(5月)は豊穣の女神「マイア」

Mayの語源は、ローマ神話に登場する豊穣の女神「マイア(Maia)」です。

マイアは春の成長や万物の繁殖を司る女神とされており、植物がぐんぐんと成長し、生命力がピークに向かう5月の名前にぴったりです。

「マイアの月(Maius)」が変化して、現在のMayとなりました。

June(6月)は結婚と女性の守護神「ユノ(ジュノー)」

Juneの語源は、ローマ神話における最高位の女神であり、結婚と出産、女性の守護神である「ユノ(Juno/ジュノー)」です。

ユノは家庭の平和を守る神として非常に人気がありました。

6月に結婚すると幸せになれるという有名な「ジューンブライド(June bride)」の言い伝えは、この結婚の女神ユノの月に由来しています。

皇帝の名前が割り込んだ7月と8月

神様の名前が続いてきたカレンダーですが、7月と8月になると突然、実在したローマの歴史上の偉人の名前が登場します。

July(7月)は英雄「ユリウス・カエサル」の誕生月

Julyの語源は、古代ローマの偉大な軍人であり政治家の「ユリウス・カエサル(Julius Caesar/英語読みでジュリアス・シーザー)」です。

もともとこの月は、古い暦で5番目にあたるため、ラテン語で「5番目の月」を意味する「Quintilis(クインティリス)」と呼ばれていました。

しかし、カエサルは太陽の動きに合わせた新しい暦(ユリウス暦)を導入し、カレンダーをより正確なものに改革しました。

その偉大な功績を讃え、彼の死後、彼が生まれた月であるこの「5番目の月」を、彼の氏族名である「Julius」に変更したのです。

August(8月)は初代皇帝「アウグストゥス」の記念月

Augustの語源は、カエサルの養子であり、ローマ帝国の初代皇帝となった「アウグストゥス(Augustus)」です。

もともとこの月は、古い暦で6番目にあたるため、ラテン語で「6番目の月」を意味する「Sextilis(セクスティリス)」と呼ばれていました。

アウグストゥスは、ユリウス暦の運用におけるズレを修正するなど、暦の整備に貢献しました。

また、この月は彼が宿敵アントニウスとクレオパトラの連合軍を破り、内乱を終結させた戦勝記念の月でもありました。

そこで元老院は、偉大なカエサルが7月に名前を残したことに倣い、続く8月を「Augustus」と改称することを決定したのです。

数字がそのまま名前になった9月〜12月

9月から12月については、すでに解説した通り、ラテン語の数字がそのまま語源となっています。

英語の単語と結びつけると非常に覚えやすくなります。

September(9月)はラテン語の「7番目」

Septemberは、ラテン語で「7」を意味する「septem(セプテム)」が語源です。

古い暦の「7番目の月」という意味です。

※関連する英単語:septet(七重奏)など。

October(10月)はラテン語の「8番目」

Octoberは、ラテン語で「8」を意味する「octo(オクト)」が語源です。

古い暦の「8番目の月」という意味です。

※関連する英単語:octopus(タコ・8本足)、octagon(八角形)、octave(オクターブ・8度音程)など。

November(11月)はラテン語の「9番目」

Novemberは、ラテン語で「9」を意味する「novem(ノウェム)」が語源です。

古い暦の「9番目の月」という意味です。

December(12月)はラテン語の「10番目」

Decemberは、ラテン語で「10」を意味する「decem(デケム)」が語源です。

古い暦の「10番目の月(最後の月)」という意味です。

※関連する英単語:decade(10年間)、deciliter(デシリットル・10分の1リットル)など。

英語の月の由来でよくある誤解

英語の月の名前について、よく見られる誤解の一つについて触れておきます。

ギリシャ神話の神々の名前が語源という誤解

「月の名前はギリシャ神話の神々から来ている」と覚えている人がいますが、厳密には「ローマ神話の神々」の名前が語源です。

確かに、ローマ神話はギリシャ神話の影響を強く受けており、神々の役割やエピソードが同一視されることが多いため、実質的な中身は同じとも言えます。

しかし、カレンダーに名付けられた言語はラテン語であり、名前もギリシャ語ではなくローマの神の名前が採用されています。

例えば、3月(March)はギリシャ神話の軍神アレスではなく、ローマ神話の軍神マルス(Mars)が語源です。

「ギリシャ神話と同一視されている、ローマ神話の神様」というのが正確な知識です。

英語の月の由来に関するよくある質問

英語の月の名前の由来は何ですか?

古代ローマ時代に使われていた暦をベースとしており、「ローマ神話の神々の名前(1月〜6月)」、「ローマ帝国の権力者の名前(7月、8月)」、「ラテン語の数字(9月〜12月)」の三つが主な語源となっています。

なぜ10月(October)は「8」を意味する言葉が語源なのですか?

古代ローマの初期の暦(ロムルス暦)では、現在の3月が「1番目の月」であり、10月は「8番目の月」だったためです。その後、一年の始まりに1月(January)と2月(February)が追加されたことで、名前の意味と実際の月が2ヶ月ズレてしまいました。

7月と8月だけ人の名前なのはなぜですか?

暦の改革を行い、現在に近い精度の高いカレンダーを作ったローマ帝国の英雄「ユリウス・カエサル(Julyの語源)」と、その養子である初代皇帝「アウグストゥス(Augustの語源)」の功績を讃え、彼らの名前にちなんで月名が変更されたためです。

4月(April)の由来は何ですか?

春になって花や蕾が「開く」ことを意味するラテン語の「aperire」が語源であるとする説と、ギリシャ神話の愛と美の女神「アプロディーテー(エトルリア語でアプル)」に由来するという二つの有力な説があります。

英語の月のルーツはどこの国ですか?

英語という言語の中で定着していますが、月の名前を名付け、暦のシステムを作ったのは「古代ローマ帝国(現在のイタリアのローマ周辺)」の人々です。

英語の月の由来まとめ

英語の月の名前の由来は、古代ローマの人々が信仰した神々の名前や、皇帝たちの功績、そしてラテン語の数字がそのままカレンダーに刻み込まれたものでした。

1月から6月までは、神聖な神々への祈りや季節の移り変わりが表現され、7月と8月には人間の権力と歴史のドラマが割り込み、9月以降はカレンダーが改編された痕跡として「2ヶ月のズレ」を現代まで残しています。

たった12個の英単語の中に、古代ヨーロッパの文化と歴史がぎっしりと詰まっていると思うと、非常に興味深いですよね。

次にカレンダーを見るときや、英語で月の日付を書くときは、その単語の背後にあるローマ神話の神々や、古代の皇帝たちの顔を思い浮かべてみてください。

きっと、アルファベットの並びを見るのが今までより少し楽しくなるはずです。