オットマンの由来とは?名称の語源と歴史や家具としての起源を解説

ソファに座るとき、足をゆったりと乗せてくつろぐための「オットマン」。

リビングにあると極上のリラックスタイムをもたらしてくれる便利な家具だが、その名前の響きから「何語なのだろう」「どこから来たものなのだろう」と疑問に思ったことはないだろうか。

実は、オットマンという名称の由来は、かつて世界的な大帝国として君臨した「オスマン帝国」に深く関係している。

この記事では、オットマンという言葉の語源や、背もたれのないクッション家具がどのようにして生まれ、日本を含む世界中で使われるようになったのか、その歴史の変遷を詳しくひも解いていく。

項目 オットマンの由来と要点
語源 英語の「Ottoman(オスマン帝国の人・もの)」に由来する
名称の由来 18世紀のヨーロッパで流行したトルコ風の長椅子が輸入されたため
本来の形態 背もたれや肘掛けがなく、部屋の壁際に置かれたクッション性の高い大型の長椅子
現在の形態 ソファとセットで使う足置き(フットスツール)が主流

オットマンの由来を先に結論から解説

オットマンという言葉のルーツは、中東から地帯にかけて繁栄した大帝国にある。

名称の由来は「オスマン帝国(Ottoman Empire)」

オットマンの最も有力な由来は、英語で「Ottoman(オットマン)」と呼ばれる、かつての「オスマン帝国」にちなんだ名称である。

18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパではトルコを中心とした中東の文化や美術品を取り入れる「シノワズリー」ならぬ「トルコ趣味(チュルクリー)」が大流行した。

その際、オスマン帝国で使われていた、部屋の壁際にずらりと並べられた背もたれのないクッション状のソファがヨーロッパへと輸入された。

現地風のその豪華なクッション家具を、ヨーロッパの人々が帝国への敬意やエキゾチックな憧れを込めて「オットマン(オスマン風の家具)」と呼ぶようになったのが、この名称の直接的な由来である。

オットマンの由来・早見表

言葉の成り立ちから現在の形に至るまでの変遷を整理する。

時代 家具の形態 背景
オスマン帝国時代 部屋の壁沿いに置く大型の長椅子・クッション 宮殿や裕福な家庭で、床に座る代わりにくつろぐためのものとして使われていた。
18世紀〜19世紀のヨーロッパ 背もたれのない豪華な中央置きのソファー トルコ趣味の流行によりヨーロッパへ伝わり、貴族たちのサロンなどで愛用される。
現代 ソファの足置き(フットスツール) サイズが小型化し、ソファと組み合わせて足を伸ばすための専用家具として定着。

オットマンという名前が生まれた歴史的背景

家具としてのオットマンがどのような経緯でヨーロッパに受け入れられ、名前が定着したのか、その歴史的背景を見ていく。

18世紀のヨーロッパにおけるトルコ趣味(チュルクリー)

18世紀のヨーロッパ、特にフランスやイギリスなどの上流階級の間では、異国情緒に対する強い憧れがあった。

中国の美術品を好む文化が流行したのと同様に、オスマン帝国の文化的影響力も非常に強かった。当時の貴族たちは、自らのサロンや応接室をエキゾチックな装飾で飾ることをステータスとしていた。

その空間に欠かせなかったのが、オスマン帝国の宮殿で見られるような、クッション性が高くゆったりと座れる大型のソファである。彼らはこの目新しい家具を「トルコ風のもの」という意味を込めて呼ぶようになり、それが英語圏に渡る中で「オットマン」という単語として定着した。

背もたれのない長椅子から足置きへの変化

伝来当初のオットマンは、現在私たちが想像するような小さな足置きではなく、部屋の壁面に沿って作り付けられたり、中央にドンと置かれたりする「大型の長椅子(カウチのようなもの)」だった。

しかし、19世紀から20世紀にかけてヨーロッパやアメリカのインテリアスタイルが近代化・効率化していく中で、家具の形状も変化する。

部屋の真ん中に大きな長椅子を置くスタイルが廃れ、代わりに独立したソファが主流になると、オットマンは手軽に移動できるサイズへと小型化していった。

そして、ソファに座ったときに足を乗せるためのクッション台として使われるようになり、現在の「フットスツール」としての役割が主流になった。

オットマンの本来の意味と現代での使われ方

名前の由来を知ると、かつての姿と現在の使われ方の違いがよく分かる。

比較要素 本来のオットマン(歴史的意味) 現代のオットマン
サイズ 複数人が座れる大型の長椅子 一人用のコンパクトなサイズ
主な用途 人々が腰掛けて談笑したりくつろいだりするメインの家具 ソファと組み合わせて足を乗せる、または補助的な椅子
配置場所 部屋の中央や壁際 ソファの足元、またはインテリアのアクセントとして独立配置

本来の意味|クッション付きの円形・長方形のソファー

家具の歴史や辞書的な定義において、オットマンは本来「背もたれや肘掛けがなく、全面がクッションになっている upholsteried seat(布張りの座席)」全般を指す。

そのため、厳密には足を置く台だけでなく、リビングの中央に置くクッション性の高いスツールや、背もたれのない円形の大型ソファなども、本来の意味でのオットマンに含まれる。

現代での使われ方|フットスツールとしての定着

現代の日本の住宅市場やインテリア業界において、単体で「オットマン」と呼ばれるものは、ほとんどがソファの足置き(フットレスト)を指している。

英語圏では「Footstool(フットスツール)」や「Puff(プフ)」などと呼ばれることも多いが、日本ではソファのメーカーがセット商品として「オットマン」という名称で販売することが多いため、この呼び名が一般的になった。

足を乗せて疲労を軽減するだけでなく、ちょっとした来客時の予備の椅子として使ったり、トレイを置いてサイドテーブル代わりに活用したりと、マルチな家具として親しまれている。

オットマンにまつわる関連雑学

オットマンの歴史や名称にまつわる、知っているとちょっと面白い雑学を紹介する。

英語での異なる呼び方

オットマンという呼び方は世界共通というわけではない。

アメリカ英語やイギリス英語では、足置きとしての機能を重視して「Footstool(フットスツール)」や「Puff(プフ)」と呼ばれることが多い。

一方、フランス語圏などでは、かつての歴史的背景を色濃く残した呼び方がされることもある。国や地域によって家具の呼び名が変わるのも、インテリア文化の面白いところだ。

インテリアにおける意外な役割

オットマンは単なる足置きにとどまらず、現代のインテリアコーディネートにおいては「空間のアクセント」としての重要な役割を担っている。

メインのソファと同じ生地や色で統一して落ち着いた空間を演出することもあれば、あえてソファとは異なる鮮やかなカラーや柄のオットマンを選ぶことで、部屋全体を引き締めるスパイスとして活用されることもある。

オットマンの由来でよくある誤解

オットマンの由来について、時折見られる誤解を一つ解いておく。

それは「英語の『Otter(カワウソ)』や『Automaton(自動人形)』のような機械的な言葉から変化した」という誤解だ。音の響きが似ていることからそのような連想をされることがあるが、全くの勘違いである。

オットマンのルーツはあくまで中世の大帝国「オスマン帝国」であり、その地で愛されていた家具のスタイルがヨーロッパへ伝わったという歴史的な事実に基づいている。

オットマンの由来に関するよくある質問

オットマンの由来は何ですか?

18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパで流行した「トルコ趣味」に由来しています。当時のオスマン帝国(Ottoman Empire)から伝わった背もたれのない豪華な長椅子を、人々が「オットマン(オスマン風の家具)」と呼んだことが語源です。

なぜ「オットマン」と呼ばれるのですか?

オスマン帝国の英語読みである「Ottoman」がそのまま家具の名称になったからです。当時、中東の文化に対する憧れが強く、現地で使われていたクッション性の高い家具が「オスマン風のソファ」としてヨーロッパに広まりました。

オットマンはもともと足置きではなく椅子だったのですか?

その通りです。もともとは部屋の壁際に置かれたり、中央に配置されたりする「背もたれや肘掛けのない大型の長椅子(ソファ)」でした。時代とともに小型化し、現代ではソファの足置きとして使われることが主流になりました。

オットマンとスツールはどう違うのですか?

大きな違いはありません。スツールは「背もたれのない椅子全般」を指す広い言葉であり、オットマンはその一種です。特にソファとセットで足を乗せるために作られたスツールを、特別に「オットマン」と呼ぶことが多いです。

オットマンという名前はどの国から生まれたのですか?

家具のスタイルそのものはオスマン帝国(現在のトルコ周辺)に由来しますが、「オットマン」という名称をつけて定着させたのは18世紀のヨーロッパの人々です。

オットマンの由来まとめ

リビングで何気なく使っているオットマン。

その名前のルーツは、かつて世界を揺るがした「オスマン帝国」の宮殿で使われていた贅沢な長椅子にあった。

トルコ趣味に沸いたヨーロッパの貴族たちがエキゾチックな異国情緒に憧れて取り入れ、時代とともに形を変えながら、現代の日本の家庭における「極上の足置き」へと進化を遂げたのである。

次にソファに腰掛け、オットマンに足を投げ出すときは、数百年前のヨーロッパのサロンや、中東の宮殿に思いを馳せてみてほしい。ただの足置きが、少しだけロマンチックなインテリアに見えてくるはずだ。