ゴルフ用語「パー」の由来を解説!なぜ基準打数をそう呼ぶの?

ゴルフ中継を見ているときや、実際にコースに出たとき、当たり前のように使っている「パー(Par)」という言葉。このパーとは、各ホールに設定された基準打数のことですが、なぜ基準のことを「パー」と呼ぶのでしょうか。

結論から言うと、ゴルフの「パー」の語源はラテン語で「同等」や「等しい」を意味する「par」です。それが株式用語の「額面通り(at par)」として使われるようになり、やがてゴルフの「基準スコアと同等」という意味へ転用されたのが最も有力な由来とされています。

実はゴルフの歴史を紐解くと、パーよりも先に「ボギー」の方が基準打数として使われていたという、意外な事実も隠されています。

この記事では、ゴルフにおける「パー」の由来や語源をはじめ、ボギーとの不思議な関係性、バーディやイーグルなど「鳥の名前」がつけられたスコアの由来まで、ゴルフがもっと楽しくなる雑学を交えて詳しく解説します。

項目 内容
ゴルフの「パー」の語源 ラテン語の「par(同等、等しい)」
ゴルフ用語としての由来 株式市場で使われていた「at par(額面通り)」という言葉が、ゴルフの「基準打数」に転用された
いつから使われているか 1890年頃のイギリスで使われ始め、1911年に全米ゴルフ協会(USGA)が公式な基準として定めた
この記事で分かること パーの詳しい歴史、元々の基準「ボギー」との関係、バーディやイーグルなど鳥の名前がつく理由

ゴルフの「パー」の由来を先に結論から解説

ゴルフで使われる「パー(Par)」の由来は、ラテン語の「同等」を意味する言葉から派生し、株式市場の用語を経てゴルフに持ち込まれたという経緯を持っています。

まずは、語源の成り立ちと、どのようにしてゴルフ用語として定着したのか、その中核となる由来を見ていきましょう。

最も有力な説はラテン語の「同等・等しい」

英語で使われている「Par」の直接的な語源は、ラテン語で「同等」や「等しい」を意味する「par」という単語です。

このラテン語をルーツとして、英語圏では「ある基準と同じレベルにあること」や「標準」という意味合いで「par」という言葉が日常的に使われるようになりました。

例えば、英語の熟語に「on a par with(〜と同等である)」や「up to par(基準に達している)」といった表現があるように、パーには本来「基準」という意味が備わっているのです。

証券用語の「額面通り」からゴルフへ

ラテン語から派生した「par」は、19世紀のイギリスにおいて、金融や株式市場の専門用語として頻繁に使われていました。

当時の株式市場では、株や債券の価格が額面(本来の価値)と同じ状態であることを「at par(額面通り)」と呼んでいました。これがゴルフに持ち込まれたのです。

ゴルフにおいて、「完璧なプレーをした場合に記録されるべき基準のスコア」に対して、「基準通りである=額面通りである」という発想から、「パー」という言葉が転用されました。これが、現代のゴルフで基準打数をパーと呼ぶ理由です。

基準打数が「パー」と呼ばれるようになった歴史

ゴルフに「パー」という概念が取り入れられたのは1890年代のイギリスであり、その後アメリカで公式なルールとしてシステム化されていきました。

ここでは、パーという言葉がゴルフの世界に定着していく歴史的背景を紐解きます。

1890年代にイギリスで誕生した「パー」

ゴルフの歴史に関する文献や、イギリスのゴルフ史家の調査によると、ゴルフのスコアに対して「パー」という表現が使われ始めたのは1890年頃だとされています。

当時、イギリスのゴルフ雑誌や新聞記事のなかで、「ミスなく完璧にプレーした場合に出るであろう理想的なスコア」を示す言葉として、「パー・スコア」という言葉が登場するようになりました。

当初はコースごとに明確なルールとして決まっていたわけではなく、「一流のゴルファーならこのくらいの打数で上がるだろう」という、一種の目標値として使われていたとされています。

1911年に全米ゴルフ協会(USGA)が基準を公式化

イギリスで生まれた「パー」の概念は、海を渡ってアメリカでさらに体系化されました。

1911年、全米ゴルフ協会(USGA)は、ゴルフコースの各ホールにおける基準打数を、距離に応じて公式に規定しました。このとき、USGAが正式に「パー」という用語を採用したのです。

当時の基準では、以下のような形で距離に応じたパーが定められました。

  1. パー3:225ヤードまで
  2. パー4:226〜425ヤード
  3. パー5:426〜600ヤード
  4. パー6:601ヤード以上

このように、アメリカにおいてシステム化されたパーの概念が、結果的に世界中のゴルフ界へと広まり、現在の標準的なルールとして定着することになりました。

道具の進化がもたらしたスコア基準の変化

パーが正式な基準として採用された背景には、ゴルフボールの進化という技術的な要因もありました。

1900年頃、「ハスケル・ボール」と呼ばれるゴム糸を巻き付けた新しいタイプのゴルフボールが発明されました。このボールは、それまで使われていたガッタパーチャ(天然ゴムの一種)製のボールに比べて飛距離が格段に伸びるという特徴がありました。

道具の進化によってゴルファー全体のスコアが劇的に向上したため、それまでの緩い基準では対応できなくなり、より厳格で理想的な基準である「パー」が必要とされるようになったのです。

「パー」より前に使われていた基準「ボギー」の不思議な関係

現在のゴルフでは、パーより1打多いスコアを「ボギー(Bogey)」と呼びますが、実はゴルフの歴史上、パーよりも先に基準打数として使われていたのはボギーの方でした。

なぜ元々基準だったボギーが、現在では「1打オーバー」を意味するようになったのでしょうか。

元々の基準スコア「グラウンド・ボギー」とは

1890年、イギリスのコベントリー・ゴルフクラブのヒュー・ロザラムという人物が、「すべてのホールにおいて、ミスなく無難にプレーしたときの仮想のスコア」を設定することを考案しました。

この仮想の基準スコアは「グラウンド・スコア」と呼ばれましたが、のちに「グラウンド・ボギー」という名称で呼ばれるようになります。

つまり、19世紀末のイギリスでは「ボギー」こそが、「そのホールの基準打数」を意味する言葉だったのです。

「ボギー大佐」という架空のゴルファーの誕生

「ボギー」という言葉は、当時イギリスで流行していた「The Bogey Man(ボギーマン=お化け、幽霊)」という歌に由来しています。

当時のゴルファーたちは、常に基準打数(グラウンド・ボギー)で上がってくる仮想の完璧なプレーヤーを「ミスター・ボギー」と呼び、見えない幽霊と対戦しているような感覚を楽しんでいました。

さらに、この見えない仮想のプレーヤーには「大佐」という階級が与えられ、「ボギー大佐(Colonel Bogey)」として親しまれるようになりました。有名な行進曲『ボギー大佐』も、このゴルフの仮想プレーヤーに由来しています。

なぜボギーが「1打オーバー」に変わったのか

元々は「ボギー=基準打数」でしたが、前述した「ハスケル・ボール」の登場により、プロや上級者の飛距離が伸び、スコアが大幅に向上しました。

その結果、従来の「ボギー」という基準では易しすぎるようになり、より厳格な「完璧なプレー」を意味する新基準「パー」が設定されました。

アメリカを中心に「パー=基準」が定着していくと、相対的に従来の基準だった「ボギー」は、「パーよりも1打劣るスコア(一般的なアマチュアの良いスコア)」という位置づけに押し出されてしまいました。これが、現在ボギーが「1打オーバー」を意味するようになった歴史的経緯です。

パー以外のゴルフ用語(スコア名称)の由来と意味

ゴルフにおいて、パーを下回る良いスコアには「バーディ」や「イーグル」といった鳥の名前が付けられています。

このセクションでは、パー以外のスコアの名称がどのようにして生まれたのかを解説します。

スコア名称 パーとの差 由来となった意味・モチーフ
バーディ −1 小鳥(Bird)から派生した米国の俗語で「素晴らしい」
イーグル −2 バーディ(小鳥)よりも大きく力強い「鷲」
アルバトロス −3 イーグル(鷲)よりさらに大きく飛翔力のある「アホウドリ」
コンドル −4 ゴルフ界の伝説的なスコア。最も大きな鳥である「コンドル」

バーディ(Birdie)は「小鳥」に由来する

パーより1打少ないスコアを「バーディ」と呼びますが、これは英語で「小鳥」を意味する「Birdie」に由来しています。

1903年頃、アメリカのニュージャージー州にあるアトランティックシティ・カントリークラブで、アブナー・スミスというゴルファーが素晴らしいショットを放ち、パーより1打少ないスコアでホールアウトしました。

当時のアメリカの俗語(スラング)では、素晴らしいものや見事なものを「Bird(鳥)」と表現する流行がありました。スミスがそのショットを「That was a bird of a shot!(なんて素晴らしいショットだ!)」と叫んだことから、1打アンダーを「バーディ」と呼ぶ習慣が生まれたとされています。

イーグル(Eagle)とアルバトロス(Albatross)

バーディが「鳥」に由来して定着したため、それよりも優れたスコアには、さらに大きく威厳のある鳥の名前を付けるというユーモアが生まれました。

  • イーグル(パーより2打少ない):バーディ(小鳥)よりも大きく、アメリカの国鳥でもある「鷲(Eagle)」が選ばれました。
  • アルバトロス(パーより3打少ない):イーグルよりもさらに珍しく、海を越えて長距離を飛ぶことができる「アホウドリ(Albatross)」の名前が付けられました。アルバトロスという呼称は主にイギリスで使われ、アメリカでは「ダブル・イーグル」と呼ばれるのが一般的です。

オストリッチやコンドルという幻のスコアもある?

パー5を1打で入れる(ホールインワンする)、あるいはパー6を2打で上がるなど、パーより4打少ないスコアを「コンドル(Condor)」と呼びます。これもアルバトロスより大きな鳥という発想です。

さらに、理論上パーより5打少ないスコアが存在する場合、それは「オストリッチ(ダチョウ)」と呼ばれるとされていますが、これは現実にはほぼ不可能な伝説のスコアとして語り継がれているものです。

「パー」にまつわるゴルフの関連雑学

ゴルフのパーに関する知識をさらに深めるため、日常のプレーでよく耳にする用語や、言葉にまつわる関連雑学をご紹介します。

コース全体の「パー72」はどうやって決まる?

一般的な18ホールのゴルフコースは、合計の基準打数が「パー72」に設定されています。これはどのように決められているのでしょうか。

基本的には、18ホールのうち、距離に応じたパー3、パー4、パー5のホールがバランス良く配置されることで構成されています。

  1. パー3(ショートホール):アウト2つ、イン2つ(合計4ホール=12打)
  2. パー4(ミドルホール):アウト5つ、イン5つ(合計10ホール=40打)
  3. パー5(ロングホール):アウト2つ、イン2つ(合計4ホール=20打)

この「12+40+20=72」という組み合わせが、最もプレーのリズムが良く、設計のスタンダードとされているため、多くのコースがパー72となっています。ただし、地形や設計者の意図によっては、パー71やパー73のコースも存在します。

日常会話の「パーになる」とゴルフのパーは関係ある?

日本語の日常会話で、計画が失敗したり、努力が無駄になったりしたときに「今までの苦労がパーになった」と言いますが、これはゴルフの「パー」とは全く関係がありません。

日本語の「パーになる」の語源については、ジャンケンの「パー(手を開いて何もない状態)」から来ているという説や、手を開く擬態語「パァ」から「全てが手からこぼれ落ちて無に帰す」様子を表したという説が有力です。

ゴルフの基準打数である英語の「Par」とは語源的に繋がりがないため、混同しないように注意しましょう。

他言語の「par」から派生した言葉

ラテン語の「par(等しい)」を語源とする言葉は、ゴルフや株の用語だけでなく、私たちの身近な言葉にも多く派生しています。

  • Compare(比較する):「com(共に)」+「pare(等しいものとする)」が合わさり、2つのものを等しいか比べるという意味になりました。
  • Parity(等価、パリティ):価値が同等であることや、平価を表す言葉として経済用語やIT用語(パリティビットなど)で使われます。
  • Peer(同輩、同等の人):同じ身分や年齢の人を指す言葉で、「ピアプレッシャー(同調圧力)」などの言葉に使われます。

このように、ゴルフのパーと同じルーツを持つ言葉は、現代の英語の中に数多く息づいているのです。

ゴルフの「パー」の由来でよくある誤解

ゴルフの「パー」という言葉について、世間でよく見られる誤解の一つに、「パーフェクト(Perfect)の略語である」というものがあります。

確かに、ミスなく基準通りにホールアウトすることは完璧なプレーに近いですが、語源的にはパーフェクトの略ではありません。

パーフェクト(Perfect)の語源は、ラテン語の「per(完全に)」+「facere(なす、作る)」であり、「等しい」を意味する「par」とは言語的なルーツが異なります。

語感の似ている言葉ですが、「パーフェクトの略称」という説は民間語源(後付けの俗説)ですので、人に話す際は注意が必要です。

ゴルフの「パー」の由来に関するよくある質問

ゴルフの「パー」の語源は何ですか?

ラテン語で「同等」や「等しい」を意味する「par」が語源です。そこから、基準と同等であるという意味へと派生しました。

なぜ基準打数を「パー」と呼ぶのですか?

19世紀のイギリスの株式市場で、株価が本来の価値と同等であることを「at par(額面通り)」と呼んでおり、この「基準通り」という意味の言葉をゴルフのスコアに転用したためです。

昔は「ボギー」がパーの代わりに使われていたって本当ですか?

本当です。1890年代のイギリスでは「グラウンド・ボギー」という言葉が現在のパー(基準打数)の意味で使われていました。その後、道具の進化でスコアが良くなったため、より厳しい新基準として「パー」が導入され、ボギーは「パーより1打劣るスコア」という意味に変わりました。

パーより良いスコアに鳥の名前が付いているのはなぜですか?

1打アンダーを出したゴルファーが、当時の俗語で「素晴らしい」を意味する「Bird(小鳥)」と表現したことがきっかけで「バーディ」が生まれました。そこから、より良いスコアには鷲(イーグル)、アホウドリ(アルバトロス)と、さらに大きく強い鳥の名前を付けるユーモアが定着しました。

日常会話の「パーになる」はゴルフが由来ですか?

いいえ、無関係です。日本語の「パーになる(無駄になる)」は、ジャンケンのパーや、手を開いて何もなくなる擬態語に由来するとされており、英語の「Par」とは関係ありません。

ゴルフの「パー」の由来まとめ

ゴルフのスコアで使われる「パー(Par)」の由来について解説しました。最後にもう一度、重要なポイントを振り返りましょう。

  • パーの語源はラテン語で「同等・等しい」を意味する「par」。
  • 株式市場の「額面通り」という用語から、ゴルフの「基準打数」へと転用された。
  • パーが定着する以前は、「ボギー」が基準スコアとして使われていた。
  • 道具の進化により、ボギーよりも厳しい基準としてパーが公式化された。
  • バーディなどのアンダースコアは、小鳥の俗語から派生し、大きな鳥の名前へとエスカレートしていった。

普段何気なく使っているゴルフ用語には、イギリスの株式用語や、当時のゴルファーたちのユーモア(ボギー大佐や鳥の名前)がたっぷりと詰まっています。

次にラウンドを回るときや、ゴルフ中継を見るときには、この「パー」や「ボギー」の歴史的背景を思い出しながらプレーしてみてはいかがでしょうか。