ピラティスの由来とは?考案者の名前やリハビリ発祥の歴史を解説

近年、健康や美容のために多くの人が実践している「ピラティス」。

ヨガと似たイメージを持たれがちですが、実はその由来や起源はまったく異なります。

結論から言うと、ピラティスの由来は考案者であるドイツ人「ジョセフ・ピラティス」の名前です。もともとは第一次世界大戦中に、負傷した兵士のリハビリテーションとして開発されました。

この記事では、ピラティスの名前の由来から、誕生の歴史、ヨガとの決定的な違い、そして知っておきたい関連雑学までを詳しく解説します。

項目 内容
名前の由来 考案者であるドイツ人「ジョセフ・ピラティス」の人名
本来の名称 コントロロジー(Contrology:コントロール学)
発祥の歴史 第一次世界大戦中の負傷兵向けリハビリテーション
ヨガとの違い ヨガは精神修行(腹式呼吸)、ピラティスはリハビリ(胸式呼吸)

ピラティスの由来を先に結論から解説

ピラティスという言葉は、特別な意味を持つ専門用語や古い言語ではなく、実は人の名前がそのまま語源になっています。

由来は考案者「ジョセフ・ピラティス」の名前

ピラティスの名前の由来は、このエクササイズを考案したドイツ人男性「ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス(Joseph Hubertus Pilates)」のラストネームです。

彼は1883年にドイツで生まれ、幼少期は喘息やくる病、リウマチ熱といったさまざまな病気に悩まされていました。

自身の虚弱体質を克服するために、体操、ボクシング、レスリング、ヨガ、禅など、あらゆる身体訓練法を研究し、実践しました。

その結果、驚くほど強靭な肉体を手に入れ、彼の考案したメソッドが後に「ピラティス」と呼ばれるようになったのです。

もともとの名前は「コントロロジー」だった

現在では世界中で「ピラティス」と呼ばれていますが、考案者のジョセフ自身は、自分のメソッドをそう呼んでいませんでした。

彼は自身の考案したエクササイズを「コントロロジー(Contrology)」と名付けていました。

コントロロジーとは、「コントロール(Control)」と「学問(-logy)」を組み合わせた造語です。心と身体、そして精神を完全にコントロールするための学問、という意味が込められていました。

ジョセフが1967年に亡くなった後、彼をリスペクトする弟子たちや実践者たちによって、いつしか敬意を込めて「ピラティス」と呼ばれるようになり、その名が世界中に定着したのです。

ピラティス誕生の歴史と成り立ち

ピラティスは、美容やダイエット目的で生まれたわけではありません。その発祥は、戦争中の過酷な環境下にあります。

第一次世界大戦中の負傷兵向けリハビリが起源

ピラティスが誕生したのは、1914年に勃発した第一次世界大戦中のことです。

当時イギリスに滞在していたジョセフ・ピラティスは、敵国人としてマン島にある収容所に抑留されてしまいました。

彼はそこで、収容されている仲間たちの健康を維持するために、限られたスペースでもできる独自のエクササイズを指導し始めます。

さらに、ベッドから起き上がれない負傷兵のために、ベッドの上でも筋力を落とさずリハビリができる方法を考案しました。これがピラティスの原点です。

ベッドのバネを活用した「マシンピラティス」の始まり

負傷兵のリハビリを行う中で、ジョセフは画期的なアイデアを思いつきます。

病院のベッドのスプリング(バネ)を取り外し、それをベッドの枠に取り付けて抵抗力を作り出したのです。

これにより、寝たきりの患者でも、バネのサポートや抵抗を利用して安全に筋肉を鍛え、回復を早めることができました。

この「ベッドとバネ」のアイデアが、現在ピラティススタジオで広く使われている「キャデラック」や「リフォーマー」といった専用マシンの原型となりました。

アメリカ・ニューヨークでの発展

第一次世界大戦後、ジョセフはドイツに戻りましたが、1926年にアメリカのニューヨークへ移住します。

アメリカで発展を遂げた流れは以下の通りです。

  1. ニューヨークの第8番街に最初のスタジオを設立する。
  2. 同じビルに複数のダンススタジオが入っていたため、多くのダンサーが訪れるようになる。
  3. ケガをしたダンサーのリハビリや、パフォーマンス向上のためのトレーニングとして絶大な支持を得る。
  4. マーサ・グレアムやジョージ・バランシンといった著名な振付師たちもピラティスを取り入れ、弟子たちへ受け継がれていく。

このように、もともとは負傷兵のリハビリとして始まったものが、トップダンサーの身体作りに欠かせないメソッドとして発展していきました。

ピラティスとヨガの由来・起源の違い

マットの上で行うことの多いピラティスとヨガは、よく混同されますが、生まれた背景や目的が根本的に異なります。

ヨガは精神修行、ピラティスはリハビリ

ヨガとピラティスは、それぞれ由来と目的がはっきりと分かれています。

ヨガは数千年前にインドで生まれたものであり、もともとは仏教やヒンドゥー教の「精神的な修行」として発展しました。瞑想を通じて心身の統一を目指すことが主眼です。

一方、ピラティスは約100年前にドイツ人のジョセフ・ピラティスが考案した「解剖学に基づいたリハビリテーション」です。インナーマッスルを鍛え、骨格の歪みを整えて、身体の正しい動かし方を学ぶことに焦点を当てています。

呼吸法とアプローチの決定的な違い

目的の違いは、具体的な動作や呼吸法にも表れています。

比較項目 ヨガ ピラティス
起源・由来 古代インドの精神修行 第一次世界大戦中のリハビリ
主な目的 心身の安定、リラックス、瞑想 姿勢改善、インナーマッスル強化
呼吸法 腹式呼吸(副交感神経を優位にする) 胸式呼吸(交感神経を優位にする)
動きの特徴 ポーズをとって静止することが多い 動きを止めず、流れるように動かし続ける

ヨガはお腹を膨らませる「腹式呼吸」でリラックス効果を高めますが、ピラティスは肋骨を広げる「胸式呼吸」を行い、交感神経を活性化させながらインナーマッスルを鍛えます。

ピラティスにまつわる雑学

ピラティスの由来を知ったところで、現代のピラティス事情に関するちょっとした雑学をご紹介します。

マットピラティスとマシンピラティスの違い

現在、ピラティスには大きく分けて「マット」と「マシン」の2種類があります。

  • マシンピラティス:リフォーマーなどの専用器具を使います。もともとベッドのバネを外してリハビリをした歴史が由来です。バネが動きをサポートしてくれるため、初心者や筋力のない人でも正しいフォームを身につけやすいのが特徴です。
  • マットピラティス:自分の体重(自重)をコントロールして行います。自分の力だけで姿勢を支える必要があるため、ごまかしが効かず、実はマシンよりも上級者向けとされる側面があります。

現代におけるピラティスの進化

ジョセフ・ピラティスが亡くなった後、彼の直弟子(エルダーと呼ばれます)たちがそれぞれの解釈や得意分野を融合させ、独自の流派を発展させました。

現在では、伝統的な教えを忠実に守る「クラシックピラティス」と、最新の解剖学や生体力学を取り入れてアレンジされた「コンテンポラリーピラティス」が存在します。

また、韓国発祥のK-POPアイドルが火付け役となり、美容やボディメイクに特化したマシンピラティスが若い世代を中心に大流行するなど、時代とともに少しずつ形を変えて広まっています。

ピラティスの由来でよくある誤解

ピラティスの由来に関して、「女性向けの美容エクササイズとして開発された」という誤解がよく見られます。

最近のスタジオは女性専用であったり、美容目的で通う人が多いため、そのようなイメージが先行していますが、歴史を紐解けば、もともとは戦争で傷ついた男性兵士のリハビリが目的でした。

考案者のジョセフ・ピラティス自身も、葉巻を愛し、ビールを飲む筋骨隆々の男性です。

現代ではプロのアスリートや男性の経営者などが、体幹の強化や腰痛予防のためにピラティスを取り入れるケースも増えており、「本来の姿」に戻りつつあるとも言えますね。

ピラティスの由来に関するよくある質問

ピラティスという言葉の語源は何ですか?

ピラティスを考案したドイツ人、「ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス」のラストネーム(苗字)が語源です。

ピラティスはもともと何という名前でしたか?

考案者のジョセフ自身は、自身のメソッドを「コントロロジー(Contrology)」と呼んでいました。コントロールと学問を合わせた造語です。

ピラティスはいつ、どこで生まれましたか?

第一次世界大戦中(1914年以降)に、イギリスのマン島にある捕虜収容所で生まれました。負傷した兵士のためのリハビリテーションが起源です。

ピラティスとヨガの一番の違いは何ですか?

ヨガはインド発祥の精神修行が起源で「腹式呼吸」を用いてリラックスを目指します。一方ピラティスは、ドイツ人考案のリハビリが起源で「胸式呼吸」を用いてインナーマッスルを鍛える点に違いがあります。

マシンピラティスはなぜベッドのような形なのですか?

考案者のジョセフが、収容所の病院で寝たきりの患者をリハビリする際、ベッドのスプリング(バネ)を外して器具の代わりにした歴史が由来です。

ピラティスの由来まとめ

ピラティスの由来について解説しました。

現代ではお洒落なエクササイズという印象が強いかもしれませんが、その起源は、人間の身体を深く研究し、過酷な状況下から生まれたリハビリテーションの歴史にありました。

最後にポイントを振り返ります。

  • ピラティスの名前の由来は、考案者「ジョセフ・ピラティス」の人名。
  • 本来は「コントロロジー(Contrology)」という名称だった。
  • 第一次世界大戦中の負傷兵向けリハビリが発祥。
  • ヨガとの違いは、ピラティスが解剖学に基づく身体のコントロールを目的とすること。

ピラティスに取り組む際は、「コントロロジー」という本来の名前を思い出し、心と身体のコントロールを意識してみてはいかがでしょうか。効果がさらに高まるかもしれませんね。